遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書作成の注意点
1 実印で押印すること
相続において遺産分割協議をする必要がある場合には、相続手続きを進めるために遺産分割協議書を作成する必要があります。
この遺産分割協議書を作成する際には、相続人の実印で押印をすることが必要です。
このように遺産分割協議書で実印での押印が求められているのは、法務局での名義変更にしろ、金融機関での口座解約手続にしろ、提出先が実印での押印と印鑑登録証明書の提出を求めているからです。
法的には、実印以外での押印であっても遺産分割協議自体は成立するのですが、手続き上の理由で実印での押印が必要であると理解していただければと思います。
なお、海外に住所がある方については、印鑑登録ができないことから、実印での押印をすることができません。
そのような場合には、居住先の領事館などでいわゆるサイン証明書を取得したうえで、遺産分割協議書には自らのサインをすることで、実印での押印に代えることができます。
2 提出先に応じた記載
遺産分割協議書は、遺産分割協議の内容を証することを目的にして作成されるものですが、主には相続手続きをするために作成されるものだといえます。
そのため、遺産分割協議書を提出する提出先が、特定の相続人が当該財産を取得したことが明らかであるような遺産分割協議書の記載をするように注意してください。
たとえば、不動産の相続手続きにおいては、法務局の登記官が遺産分割協議書を審査しますが、特定の相続人が特定の不動産を取得したことが明らかなように遺産分割協議書を作成する必要があります。
不動産の特定の方法としては、土地であれば、所在、地番、地積などによってどの土地が遺産分割協議の対象となったのかを明らかにする必要があります。
預貯金については、提出先の金融機関が、その金融機関の管理する財産を特定の相続人が取得することになっていることが明らかであるような記載の方法をする必要があるといえます。
このように、遺産分割協議書を作成する際には、それぞれの提出する先での手続きができるように意識をしながら作成を進めることが大切です。