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遺留分の放棄

  • 文責:弁護士 森田清則
  • 最終更新日:2025年4月14日

1 遺留分を放棄してもらいたい場合

現在の日本の法律では、被相続人が遺言書を作成したとしても、必ずそのとおりに遺産を配分できるとは限りません

一部の例外を除き、法定相続人には、遺留分という権利が保障されているため、遺産をあまりもらえなかった相続人は、遺産を多くもらった相続人に一定の権利(遺留分)を請求できます。

しかし、相続人同士で揉め事が起きることを防ぐため、遺言書を書いた人がご存命のうちに、相続人の方に遺留分の権利の放棄をしてもらうことが可能です。

なお、遺留分の放棄は、遺留分を放棄する相続人の協力があって初めて、手続きが行えますので、協力が得られない場合は、この制度を使うことはできません。

協力が得られない場合は、相続人の廃除や遺留分対策を検討することになります。

2 相続開始前の遺留分の放棄の手続き

⑴ 遺留分の放棄は家庭裁判所で手続きを行います

遺留分は、法律で認められている権利を、あらかじめはく奪する制度であるため、家族間で話し合いをするだけでは、遺留分の放棄はできません。

遺留分の放棄をするためには、遺留分を放棄する相続人自身が家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

参考リンク:e-Gov法令検索(民法)

そのため、被相続人が相続人に代わって遺留分の放棄を行うこともできません。

手続きをする家庭裁判所は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

例えば、被相続人が名古屋にお住まいの場合、名古屋家庭裁判所で手続きを行います。

また、遺留分の放棄を家庭裁判所に申し立てる場合、被相続人の戸籍謄本、申立人の戸籍謄本、財産目録などが必要です。

参考リンク:裁判所・遺留分放棄の許可

⑵ 手続きの流れ

家庭裁判所に必要書類を提出し、家庭裁判所から届く照会書に回答・返送し、審問が行われる場合は対応します。

それらが完了すると、審査が行われ、審判の結果、遺留分の放棄が認められます。

3 生前の遺留分の放棄が認められる条件

⑴ 自分の意思に基づくこと

遺留分の放棄をする人が、自らの意思で手続きを行う必要があります。

例えば、家族に圧力をかけられたり、強要されたりしたような場合は、遺留分の放棄はできません。

⑵ 遺留分の放棄に合理的な理由や必要性があること

遺留分の放棄は、特定の相続人に対し、最低限保障された権利をはく奪する制度であるため、放棄をさせる以上は、それ相応の理由が求められます。

例えば、長女はすでに十分な生前贈与を受けており、残った遺産を次女に相続させるためというような事情が挙げられます。

⑶ 遺留分の放棄をするにふさわしい対価を受け取っていること

遺留分に相当する程度の財産を、放棄する人に渡しておく必要があります。

例えば、「次女は会社の役員で、自分で十分な資産を築いているから、遺産を渡す必要はない」と考え、遺留分の放棄を申し立てても、認められない可能性があります。

4 相続後の遺留分の放棄

相続発生後の遺留分の放棄は、遺産を多くもらった方々に対し、「遺留分を放棄する」旨を伝えるだけで問題ありません。

生前の遺留分の放棄のように、家庭裁判所などで行うような手続きは必要ありません。

手続きが簡単な理由は、遺留分を請求しようと思えばすぐにできる状態にも関わらず、あえて請求しないというのであれば、その意思を尊重すべきだからです。

もっとも、後々のトラブルを防ぐためには、相続人同士で何らかの合意書の作成はした方がよいでしょう。

5 遺留分を放棄しても相続権を失うわけではないことに注意

遺留分の放棄をしても、相続権を失うわけではありません。

つまり、遺留分の放棄をしても法定相続分を取得することができるのです。

特定の相続人に遺産を相続させたくないという理由で遺留分の放棄をさせる場合は、遺言も作成しておく必要があります。

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