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遺留分の放棄

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年8月4日

1 生前の遺留分放棄は、法律上可能です

現在の日本の法律では、遺言書を作成したとしても、必ずそのとおりに遺産を配分できるとは限りません。

一部例外を除き、相続人には、遺留分という権利が保障されているため、遺産をあまりもらえなかった相続人は、遺産を多くもらった相続人に一定の権利を主張できます。

しかし、相続人同士でもめ事が起きることを防ぐため、遺言書を書いた人がご存命のうちに、相続人の方に遺留分の権利の放棄をしてもらうことが可能です。

2 生前の遺留分の放棄の手続き

遺留分は、法律で認められている権利を、あらかじめはく奪する制度であるため、家族間で話し合いをするだけでは、遺留分の放棄はできません。

遺留分の放棄をするためには、家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

手続きをする家庭裁判所は、遺言書を作成した方の住所地を管轄する家庭裁判所です。

例えば、遺言書を作成した方が名古屋にお住いの場合、名古屋家庭裁判所で手続きを行います。

※参考リンク:名古屋家庭裁判所について/裁判所

3 生前の遺留分の放棄が認められる条件

⑴ 自分の意思に基づくこと

遺留分の放棄をする人が、自らの意思で手続きを行う必要があります。

例えば、家族に圧力をかけられたり、強要されたような場合は、遺留分の放棄はできません。

⑵ 遺留分の放棄に合理的な理由や必要性があること

遺留分の放棄は、特定の相続人に対し、最低限保障された権利をはく奪する制度であるため、放棄をさせる以上は、それ相応の理由が求められます。

例えば、長女にはすでに十分な生前贈与を行っているため、残った遺産は次女にあげたい、といった事情が必要です。

他方、「次女が嫌いだから、遺産を相続させたくない」という理由では、遺留分の放棄は認められない可能性が高くなります。

⑶ 遺留分放棄をするにふさわしい対価を受け取っていること

遺留分に相当する程度の財産を、放棄する人に渡しておく必要があります。

例えば、「次女は会社の役員で、十分な資産を築いているから、遺産を渡す必要はない」と考え、遺留分の放棄を申し立てても、認められない可能性があります。

4 死後の遺留分放棄

相続発生後の遺留分放棄は、遺産を多くもらった方々に対し、「遺留分を放棄する」旨を伝えるだけで、手続きは完了です。

手続きが簡単な理由は、遺留分を請求しようと思えばすぐにできる状態にも関わらず、あえて請求しないというのであれば、その意思を尊重すべきだからです。

もっとも、後々のトラブルを防ぐためには、何らかの合意書の作成はした方がよいでしょう。

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