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相続財産が少なくても揉める理由

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年7月6日

1 相続財産が少なくても準備が必要

相続財産が少ない場合、被相続人も相続人も、「揉めるほどの財産がないから、うちは大丈夫だろう」と考える傾向があります。

確かに、相続財産となり得る財産の内容が、自宅の土地建物と少ない預貯金のみであったり、不動産はなく預貯金のみであったりする場合、感覚的に相続で揉めることはなさそうという方向に意識が働きます。

そして、その結果、相続に関する準備がほとんどされないまま、被相続人が死亡し相続が始まることとなります。

詳しくはこの後で述べますが、相続財産が少ないからこそ分割が困難になることが多く、事前に遺言を用意したり、預貯金の確保をしたりしないと相続人同士の揉め事が起きやすくなります。

2 相続に関する争いの実態

平成29年度の家庭裁判所の司法統計資料によれば、遺産分割で相続の争いが行われる件数のうち、相続財産の価額が5000万円以下の場合が約75%を占めており、年々件数は増えています。

3 分けにくい財産が相続財産の大半を占めているケース

⑴ 相続財産が5000万円以下とはどのような場合か

相続財産が5000万円以下の場合の多くは、被相続人の自宅土地建物と、多額ではない預貯金だけが相続財産である場合です。

つまり、自宅土地建物が相続財産の大半を占めている場合です。

そして、自宅の土地建物は、複数の相続人で分けることは簡単ではありません。

⑵ 相続人同士での被相続人の自宅の土地・建物の分け方

幸い、いずれの相続人も被相続人の自宅の土地・建物を相続することにこだわりがない場合は、売却した代金を分けることで合意できれば問題ないと思います。

しかし、自宅の土地・建物の相続においては、相続人のうちの誰かがその土地建物に住み続けたいというケースが多く、ほかの相続人は土地・建物に見合う預貯金等を分けてもらわなければ、公平な相続が実現できないということもあります。

例えば、相続財産の内訳が、評価額3000万円の土地・建物と500万円の預貯金であった場合、3000万円分を取得する相続人と、500万円しか取得できない相続人が現れてしまいます。

そのため、偏りを解消し平等にするため、土地・建物を取得した相続人が、代わりにほかの相続人へ金銭を支払う代償分割という方法がとられます。

例えば、相続人が子ども2人のみ、相続財産は評価額5000万円の自宅土地建物のみで、遺言がないという場合を考えてみます。

この場合、法定相続となりますので、理論上はそれぞれが2500万円分の遺産を取得することができます。

しかし、仮に1人が自宅の土地・建物を取得すると、片方が5000万円分を取得し、もう1人は0円となってしまいます。

そこで、自宅の土地・建物を取得した相続人が、もう1人の相続人に2500万円のお金を支払うことで、どちらの相続人も2500万円分の財産を取得したことになり、法定相続分と同じになります。

これは代償分割と呼ばれ、実際によく行われています。

このほか、自宅土地建物を複数の相続人で共有するという分割方法もあります。

しかし、この方法をとってしまうと、権利関係が複雑になり、売却や賃貸も簡単にできませんし、次に相続が発生した場合にはより複雑な権利関係を生み出してしまいます。

そのため、よい方法とはいえません。

⑶ 代償分割は簡単にいかないこともある

話を代償分割に戻しますと、ここでも問題があります。

代償分割は一見合理的で、それぞれの相続人の要望に近い形で遺産を分割できます。

しかし、代償金を支払う側の負担は数百万円から、場合によっては数千万円になります。

自宅土地建物を取得する相続人が、この金銭を用意できないということもあります。

そうすると、実現が困難という理由で、代償分割での合意形成もなかなか進みません。

そこで次は、初めに一部の代償金を支払ってもらい、残りは分割払いにするなどの調整をして、最終合意までたどり着くことになります。

4 預貯金が少ないケース

相続財産の大半が自宅土地建物のみである場合、揉めやすいことは今述べたとおりです。

そのほかにも揉めやすいケースがあります。

それは、預貯金が少ない場合です。

特に、相続人が想定していた金額よりも少ないと、「こんなに少ないはずがない。

被相続人の生前、誰かが勝手に引き出したのではないか。」という疑いが生じてしまうことがあります。

被相続人が生前に介護が必要となり、相続人の誰かが生活用品の手配や施設に支払うお金など、被相続人のお金の管理をしていた場合、その人に疑いの目が行くことがあります。

本当に私利私欲のために使い込んだのであれば仕方ありませんが、実際は被相続人が必要な分だけ引き出して使っていたとしても、そのような疑いが生じ、争いに発展してしまうことがあるのです。

疑いを持ち始めた相続人は、事細かにお金の使い道の説明、証明を求めるようになることもあります。

場合によっては、使い込んだ被相続人の金を返してもらおうと、不当利得返還請求という裁判にまで発展してしまうことさえあります。

5 感情的対立があるケース

相続の争いには、単なる金銭面の損得勘定だけではなく、感情面での対立が含まれることが多いです。

特定の相続人が昔から被相続人に可愛がられていたとか、上京したほかの相続人の代わりに、被相続人が亡くなるまで何年も面倒をみてきた相続人がいるなど、積もり積もった事実が複雑に絡んで感情的な対立の原因になることもあります。

感情面の対立は、相続財産の大小にかかわらず起こり得ます。

自分の方がほかの相続人より優位でなければ嫌だ、あの相続人に財産が渡るのは嫌だ、という思いがあるからです。

例えば、何十年も音信不通だった兄弟が、親の葬式の時に突然現れ、法定相続分をよこせと言ってきたらどうでしょうか。

他の兄弟が親の面倒を何年もみてきたとしたら、仮に相続財産が10万円しかなくても、他の兄弟としては、突然現れた兄弟には一銭も渡したくないと思うのも仕方のないことです。

このような場合でも、法律に従うと、法定相続分を渡さなければなりません。

しかし、それは人道面において納得がいかないというのが通常の感覚ですので、相続人同士の交渉や、柔軟な対応が可能な調停などで調整していくことが多いです。

6 相続のお悩みは弁護士法人心にご相談を

相続財産が少ない場合であっても、相続で争いが生じることは多々あります。

そして、相続財産が少ない場合特有の問題や争いの解決方法もあります。

弁護士法人心には、相続を集中的に取り扱う弁護士が在籍しています。

そして、相続担当の弁護士でチームを組み、ノウハウを共有しつつ、最適な問題解決の検討にあたっています。

相続財産が少なくても遺言は作った方がよいのか、被相続人の自宅土地建物に他の相続人が住みたがっている場合どのように調整したらよいのか、他の相続人に預貯金を引き出された疑いがある場合どうしたらよいのかなど、多くの疑問、不安についてお話を伺い、納得いただけるまで回答し、サポートいたします。

名古屋近郊にお住まいで、相続にお悩みの方は、ぜひ一度弁護士法人心の無料相談をご利用ください。

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