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相続財産清算人が必要なケース

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年3月21日

1 相続財産清算人とは

そもそも、相続財産清算人とは、被相続人(亡くなった人)の遺産の管理や清算を行う人のことをいいます。

以前は、相続財産管理人と呼ばれていましたが、令和5年4月1日施行の改正民法より、相続財産清算人と呼ばれるようになりました。

相続財産清算人は、相続人の存在、不存在が明らかでないときに家庭裁判所を通して選任の申立てを行います。

相続人の存在、不存在が明らかでないときとは、例えば、被相続人に子や両親、兄弟、甥姪といった相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄をし、相続人がいなくなった場合が該当します。

なお、相続財産清算人の選任申立てに関する詳細は、裁判所のホームページをご確認ください。

参考リンク:裁判所・相続財産清算人の選任

2 相続財産清算人が必要なケースの具体例

相続財産清算人が必要なケースとして、代表的なものに以下のケースがあげられます。

⑴ 管理しなければならない遺産がある場合

空き家など、管理しなければならない遺産がある場合に相続財産清算人が選任されることがあります。

例えば、相続人が全員相続放棄をし、被相続人の自宅がそのまま放置されてしまっているケースで、自宅の倒壊する可能性がある場合、相続放棄をした相続人や近隣住民、市町村等が、相続財産清算人を選任し、自宅の管理を任せることがあります。

相続放棄をした相続人であってもその自宅に住んでいた場合は、相続放棄をした後も、他の相続人が管理を始めるか、相続財産清算人を選任し、管理を任せるまでは、保存義務を負っています

保存義務を負っている状態で、自宅が倒壊し、近隣住民に被害が出た場合、相続放棄をした相続人は、その損害を賠償しなければならなくなる可能性があります。

⑵ 被相続人に対する債権がある場合

被相続人にお金を貸していたなど、債権がある場合、被相続人に相続人がいない、または、相続人全員が相続放棄をした場合、相続財産清算人を選任し、清算人からお金等を回収する必要があります。

なお、相続財産清算人を選任するための手続きにも費用がかかり、場合によっては100万円程度かかることもあるため、費用対効果を考慮する必要があるケースもあります

⑶ 特別縁故者がいる場合

内縁の配偶者や同性のパートナーなど、被相続人と生計を同一にしていた人や、被相続人の面倒を看てきた人など、法定の相続人ではないが被相続人と特別の関係(縁故)があった者(特別縁故者)は、相続財産の全部又は一部を取得することができる場合があります。

この特別縁故者が相続財産の分配を求める場合、相続財産清算人を選任する必要があります。

なお、特別縁故者の申立ての詳細については、以下の裁判所のホームページをご参照ください。

参考リンク:裁判所・特別縁故者に対する相続財産分与

⑷ 遺贈の手続きを行う場合

被相続人が遺言書を残し、遺言によって相続人以外に特定の遺産を渡した場合(遺贈した場合)で、かつ、遺言執行者の選任もない場合、相続財産清算人を選任することがあります。

例えば、遺言に、「自宅不動産を内縁の妻に遺贈する」と書かれていた場合で、遺言執行者の指定もない場合、内縁の妻が相続財産清算人の選任申立てをすることが考えられます。

⑸ 被相続人を含む相続人同士で遺産分割協議を行う場合

被相続人が相続人となっている遺産分割がある場合、被相続人に相続人がいないため、被相続人の代わりに遺産分割協議を行うものとして、相続財産清算人を選任する必要があります。

例えば、父が亡くなり、相続人は長男・次男であり、父の遺産を分割する前に次男が亡くなったが、次男には多額の借金があったため、次男の相続人全員が相続放棄をしたという場合、父の相続は、長男と次男の相続財産清算人とで行う必要があります。

⑹ 時効取得をする場合

他人名義の不動産があり、そこに長年住み続けていた場合、住み続けていた人は、時効取得という制度を使い、その不動産の所有権を取得することができる場合があります。

相続財産清算人を選任する必要があるケースとして、他人名義の不動産が亡くなった人の名義であり、また、その亡くなった人の相続人も見つからなかったため、そこに長年住んでいた人が時効取得を主張する目的で、相続財産清算人を選任するということがあります。

⑺ 被相続人名義の共有不動産を取得する場合

被相続人と共同名義の不動産があり、その共同名義を取得するために、相続財産清算人を選任することもあります。

例えば、土地が被相続人とA名義の場合、被相続人に相続人もいない場合は、Aは、相続財産清算人を選任し、清算手続きに特に問題がなければ、被相続人の持分もAが取得できます。

3 相続財産清算人が必要な場合は専門家にご相談を

このように、相続財産清算人を選任すべきケースは多種多様であり、また、相続財産清算人の選任手続きもかなり複雑となります。

さらに、相続財産清算人を選任するためには、場合によっては、100万円以上の費用が掛かることがあるなど、注意点もあります。

そのため、相続財産清算人に関して、お悩みの方やご不安な方は、後から後悔しないためにも、一度専門家にご相談されることをおすすめします。

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