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配偶者居住権と遺産分割審判についてのQ&A

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年1月12日

配偶者居住権は遺産分割審判でも認められますか?

そもそも、配偶者居住権とは、簡単にいうと、配偶者のどちらか一方が亡くなった場合、残された配偶者が、亡くなった配偶者と一緒に住んでいた自宅に、亡くなるまで居住し続けることができる権利のことを言います。

たとえば、夫が亡くなり、相続人は、妻と子の場合、妻が配偶者居住権を取得できた場合、妻は、亡くなるまで自宅に住み続けることが可能となります。

配偶者居住権について、民法1028条1項1号では、「遺産分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき」に、配偶者は、配偶者居住権を取得するものとされています。

そして、この「遺産分割」には、遺産分割の協議や調停だけでなく、遺産分割の審判も含まれていますので、裁判所が審判によって、配偶者に配偶者居住権を取得させることは可能です。

他の相続人が反対していても配偶者居住権が認められますか?

他の相続人が反対している場合であっても、裁判所が配偶者居住権を認める余地があります。

もっとも、確実に認められるわけではありませんので、注意が必要です。

どのような場合に、遺産分割審判で配偶者居住権が認められますか?

民法1029条によると、裁判所は、次の場合にのみ、配偶者居住権を認めることができるとされています。

一つ目として、「共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき」(1号)があります。

二つ目として、「配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき」(2号)があります。

二つ目の類型については、遺産分割に関する紛争が解決した後も配偶者と居住建物の所有者との間で紛争が生じるおそれがあることから、配偶者居住権が認められる場合を限定したものです。

ここで条文上は、配偶者の生活を維持するための利益と居住建物の所有者の受ける不利益の考量をすることとされていますが、裁判所が配偶者居住権を認めるかどうかを判断する際には、配偶者の従前の居住状況、年齢、居住建物の状況、配偶者と居住建物所有者との関係、配偶者居住権の評価額と他の相続財産の内容などの諸般の事情を考慮されるものと考えられます。

配偶者居住権が認められた場合に、配偶者の相続分はどうなりますか?

配偶者が遺産分割審判によって配偶者居住権を取得した場合には、自らの具体的相続分から取得することになります。

つまり、配偶者居住権に相当するお金を相続したと考えることになります。

たとえば、遺産の内容について、自宅が3000万円、預貯金が3000万円の場合、配偶者居住権が認められないと、配偶者は、自宅に住み続けようと思った場合、自宅のみを取得し、預貯金を取得することができません。

他方、配偶者居住権が認められた場合、仮に配偶者居住権の価額が1000万円だとすると、配偶者は、1000万円の配偶者居住権を取得し、自宅に住み続けられるだけでなく、2000万円の預貯金を取得することができる場合があります。

このように、配偶者居住権が認められるかどうかで、配偶者が取得できる相続財産の内容が変わることがあります。

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