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特別受益がある場合の遺産分割

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2024年1月22日

1 特別受益の事例

特別受益がある場合の遺産分割について、以下の事例をもとに考えてみます。

母が亡くなり、相続財産として、実家の土地・建物4000万円、預貯金1000万円、駐車場の土地が1000万円分ありました。

相続人は、長女の私・次女・三女の3人です。

母の生前、私は大学と大学院の学費を500万円ほど出してもらい、次女は結婚式の費用として300万円ほど出してもらい、三女は生活費のために合計300万円ほど出してもらっていました。

これらの生前に母からもらったお金は、遺産分割では差し引くことになるのでしょうか。

2 特別受益についての解説

⑴ 特別受益の意味

共同相続人の中に、亡くなった方から、遺贈を受けたり、婚姻もしくは養子縁組、あるいは生計の資本として贈与を受けたりした者がいる場合は、その贈与を「特別受益」として扱います(民法903条1項)。

⑵ 特別受益が認められない場合

この場合は、生前の贈与は特に遺産分割において考慮されません。

したがって、上記の例であれば、長女・次女・三女はそれぞれ1/3ずつの相続分がありますので、実家4000万円+預貯金1000万円+駐車場の土地1000万円=6000万円の1/3にあたる2000万円ずつの相続分があることになります。

⑶ 特別受益が認められる場合

特別受益が認められると、まず、贈与の額を相続財産額に加算して、「みなし相続財産額」を算出します。

ただ、すべての生前贈与が特別受益にあたるわけではなく、あくまでも民法903条1項に該当するもののみが認められます。

上記の例では、次女の結婚費用と三女の生活援助金は、「婚姻」や「生計の資本」としての贈与に該当する可能性がありますが、長女の学費は、民法903条1項の文言上、特別受益に該当しない可能性が高いと思われます。

そのため、上記の例であれば、6000万円+次女の300万円+三女の300万円=6600万円が「みなし相続財産額」となります。

次に、これを法定相続分で割り、「一応の相続分」を出します。

上記の例であれば、長女2200万円、次女2200万円、三女2200万円が「一応の相続分」の額となります。

続いて、それぞれの相続人における特別受益を受けた額を「一応の相続分」の額から差し引き、具体的相続分を出します。

例に当てはめると、長女2200万円、次女2200万円-300万円=1900万円、三女2200万円-300万円=1900万円がそれぞれの具体的相続分額となり、これに従って遺産分割を行うことになります。

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