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葬儀費用と相続についてのQ&A

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年3月3日

亡くなった後でも、葬儀費用のために預貯金を引き出すことはできるのですか?

亡くなった後に、故人の預貯金から葬儀費用を引き出すと、相続人間でトラブルになる可能性があります。

たとえ全額を葬儀費用に充てたとしても、引き出した預貯金相当額を他の相続人に返さなければならなくなる場合もあります。

そもそも、亡くなった後の故人の預貯金は相続財産となるため、遺言書や遺産分割協議書が無ければ、原則として、法的には相続人であっても勝手に引き出すことはできません。

金融機関は、口座の名義人が亡くなったことを知ると、通常、取引を停止する措置をとります(「口座凍結」などと呼ばれることもあります)ので、相続人は預貯金を事実上も引き出すことができなくなります。

葬儀費用は亡くなってからすぐに必要な費用ですが、亡くなった後にすぐに葬儀費用に充てる目的で預貯金を引き出すことは、トラブルになることもあるため、注意が必要です

葬儀費用を相続財産から支出することはできるのですか?

法律上は、葬儀費用を相続財産から当然に支出できるわけではありません

たしかに、葬儀費用は亡くなった方についてかかった費用であるというのが一般的な感覚かもしれませんが、法的には、葬儀は亡くなった後に発生する費用でもあるし、葬儀費用はどのような内容で行うかを決めた喪主が負担すべきであるという考え方が強いのです。

そのため、たとえば、「相続人が、亡くなった方から、葬儀費用に充てる目的で資金を預かっていた」とか、「相続人が、亡くなった方から、相続財産から支出して葬儀を行う旨の契約(準委任契約)を結んでいた」などといった事情がない限りは、相続人の方が葬儀費用を支出してよい法的な根拠がないと考えられてしまうおそれがあります。

さらに、実際にそのような事実があったとしても、そのような事実があったという証拠がなければ、葬儀費用を相続財産から支出した相続人とその他の相続人との間で、トラブルになってしまうリスクはあるでしょう。

もちろん、相続人の全員が葬儀費用を遺産から支出することに合意をすれば、相続財産から支出することはできますし、このように遺産分割協議が進められることも多いです。

なお、相続税を計算するうえでは、葬儀費用も相続財産から控除することができますが、遺産分割においては、葬儀費用を遺産から支出するためには、相続人全員の合意が必要になる場合がありますので、注意が必要です。

相続放棄をしても、葬儀費用を相続財産から支出できますか?

相続放棄をした人は初めから相続人ではなくなりますが、相続財産を処分した者は、そもそも相続放棄ができなくなります

「理由がない限り、葬儀費用を相続財産から支出することはできない」という考え方からすると、相続放棄をした人は相続人ではないため、葬儀費用を相続財産から支出することはできませんし、葬儀費用のために預貯金を引き出した場合には、相続財産を処分したとして相続放棄ができないと考えることもできます

裁判例の中には、葬儀費用を相続財産から支出した場合にも、それが社会的に相当な額にとどまっていたため、相続放棄が認められたというものもあります。

もっとも、このような裁判例があるから問題ないと簡単に判断できるものではないため、葬儀費用を相続財産から支出したことで相続放棄が認められなくなるというリスクはありうるでしょう。

専門家の中には、「遺産から葬儀費用を出しても問題ない」と指摘する方もいますが、裁判例も無条件に認めているわけではなく、法律上、絶対に問題ないとは言えませんので、葬儀費用も支出しない方が、より安全といえます。

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